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希死意無ハウス

多分絵とかクソSSとか作る。

私達の行く先は天ではなかった。

第肆話 レンの場合・後編⑦

「聞いてたよ聞いてた、あんた人間みたいな名前名乗んの?
本当妖精の恥さらしだね!しかも変な服まで着ちゃってさぁ、人間堕ちは禁止されてるって言ったじゃないの! ほんとにやっちゃうなんてバッカみたい!」
わたしが服を着て楽しんでいるとこにストベちゃんがやって来た。
……いまは、会いたくなかったかも。
「なによぉ、仲良くしてくれるんじゃないの……?」
「んな訳ねぇだろニユキさんよ、あたしらはもう一回忠告しに来たって訳だ。
ほら、こんな感じにな」
「ンギ…ッ!」
「ちょっと…?! 何してるんですか……?」
そう言うとロンさんはストベちゃんの腕をあらぬ方向に曲げ、それを見たあいかちゃんは思わず顔を覆った。
でも、すぐにストベちゃんは冷静になって、
「あたしならこの傷なんかどうってことないけど、あんたならショックで死んじゃうかもねぇ~!
とっとと殺られて妖精界に帰ってくることね!」
って言いながらぐにょぐにょの腕を振り回しながらわたしを嗤った。
「な、なんでよ……あいかちゃんの前でそんなことしないでよ!
それにね、わたしはもう能力持ちさんと一緒に人間さんの生活をするの、しらないもん……! 帰ってよ……!」
やっぱりストベちゃんなんか知らない!わたしはストベちゃんたちを帰らせるように言った。
すると、ストベちゃんは、
「レンのバカ!」
ってさっきみたいにわたしのほっぺを叩いた。痛い。妖精の時よりずっと。じんじんするくらいに痛い。
「ストベちゃんのバーカ!」
わたしもストベちゃんのほっぺたを叩いて、痛くってお互いに自分のほっぺたを押さえた。でも、そんなところに意外な声。
「まぁあんたの事はもう知らんがね、ストベがどうしてもって言うんだよ。
わかんだろ? まぁあれだ、面倒ごとは勘弁してほしいんだ。本当なら仲直りしてもらいたいもんだねぇ」
「ろ、ロン、な、何言ってんのよ…?!仲直りなんてバッカみたいじゃないですか?」
その声はいつもは乱暴なはずのロンさんの優しすぎる声だった。
「…介入して良いのかはわかりかねますが、私も同意します。れんちゃんも、ストベさんも、れんちゃんが亡くなるまで仲悪いなんて嫌ですよね?」
「あいか、ちゃん……」
わかった、わたしは右手をストベちゃんの方に差し出した。
「勘違いしないでよね、こっちのもやもやした気持ちの解消に仲直りするだけなのよ」
ストベちゃんは、折れてない右手で握手に応じてくれた。

ここから、煮雪れん(わたし)の新しい「人生」が始まる。わたしはこうして生まれたのだから。


レンの場合・後編⑦

2020/05/11 up
2022/09/20 修正

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