私達の行く先は天ではなかった。
第弐話 別火寿希の場合⑤
「……え?」恐る恐るゆっくり周りを見渡すと、赤髪でおさげの女の子が窓の外から僕の方を見ていた。
「お、おばけ…?!」
「違うわよ!失礼ね!」
聞くと、その女の子は妖精らしかった。
なんでも、僕に特殊能力ができたのを教えに来たんだとか。
妖精さんは来るなり僕に特殊能力の内容を教えてくれた。
そしてどうやらお姉ちゃんもその『能力持ち』というものらしい。
「僕に、そんな……能力が……?」
「そーよ! あんたの愛しのお姉ちゃん以上に愚かな能力かもね!
でも能力に感謝なさい、おかげであんたはあたしが見えるのよ」
信じがたい話だったけれど、証拠として女の子は背中の羽をはためかせた。
元々おばけなんて信じてない(と思ってる)けど、夢でもなければこれは本当にあるのかもしれないとなぜだかすんなりと信じてしまった。
「ふん、そろそろ眼帯女が帰ってくるからじゃーね、上手くやんなさいよ天パ眼鏡」
「あ…うん……」
ど、どうやって上手くやれって……。聞こうとすると妖精さんは既にいなくなっていた。
別火寿希の場合⑤
2023/02/16 up