私達の行く先は天ではなかった。
第壱話 青川現奈の場合外伝
「こっちはストべちゃん!わたしのいっちばんのお友達!」「あんたの友達って言われるとあたしまで馬鹿みたいでイヤなんですけど!」
「えっと……よろしくね、ストべ?さん」
気まずさで家に戻れずに数日、レンちゃんと色んな場所で野宿していた私。
そんなある日、レンちゃんがイチゴの妖精と言って腰の下まである長いおさげの妖精さんを連れてきた。
「べっつに、あたしが好きで来たわけじゃないのよ?
レンがお願いって何回も言うから仕方なく──」
「えー、さっきわたしが妖精界に帰ってこないから気になって~とかなんとか言ってなかったっけ?」
「あぁもう! 忘れなさい今すぐに!」
ふふっ。……なんだか、これから楽しく過ごせそう、かな。
「何笑ってんのよこいつ! も~、腹立つわね人間のくせに!」
「ごめんごめん、つい」
私も早く波さんと仲直りして楽しく過ごせるようにしないと。
「あれ、あらなちゃんどこ行くの?」
「んーとね、ある人のとこに行こっかなって!」
「あいつ、あたしを差し置いてどっか行こうとしてるわよ?」
「いーじゃんいーじゃん、ついていこうよ! もちろんストべちゃんも一緒に!」
「どうせ相手は能力持ちでもないだろうし、そんな知らない人んとこに行くなんて、だからレンはあたしに『モラルがない』なんて言われんのよ」
「えへへ~」
「えへへじゃないのよ」
あのね、今なら波さんに謝れる気がするの。それにもう一つ──。
「もしもーし! 剛さんいますか?」
私はレンちゃんたちに頑張ってみるから見ていてね、と伝えてインターホンを押した。
青川現奈の場合 終
青川現奈の場合外伝
2019/06/28 up
2021/01/01 修正
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