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希死意無ハウス

多分絵とかクソSSとか作る。

双子の姉妹

20190724の夢について。

あるところに、双子の姉妹がおりました。
姉は元気で男の子みたいです。一方、妹の方は引っ込み思案で女の子らしい振る舞いをします。

ある日、二人は工場でかくれんぼをしていました。
姉は中身の入っていない大きな牛乳瓶の中に隠れようとします。
しかし、足を滑らせ、中身が入っている牛乳瓶の中に入ってしまいました。
牛乳瓶の中に滑り落ちた反動で蓋も閉じてしまいます。
「もういいかい?」
妹が聞きます。帰ってくる声はありません。
姉はもがきます。牛乳の中でなんとか息をしようと。
しかし満杯に入った牛乳瓶では息もままなりません。
妹は不思議に思って「もう探しに行くからねー」と叫んで姉を探し始めます。
姉の穴という穴に牛乳が入り込みます。気道にも入ります。そして、姉はもがかなくなりました。
妹は、なんぼ探しても見つからない姉にストレスを感じ始めます。しかし、ある一つの牛乳瓶の蓋を開けた時に、怒りは絶望に変わりました。
「おねえ、ちゃん…?」

妹はすぐに工場の人々の元へ連絡を入れました。
工場の人々は死んだ姉を瓶から出し、妹にこう言いました。
「白く染まった祝福の子の片割れよ、ついてきなさい」
ハテナと絶望が渦巻く中で、従うことしか出来ない妹はうんと頷きます。

白く染まった姉は大切に車の荷台に乗せられました。
「祝福の子の片割れよ、他に大切なものはあるかい?」
従業員は聞きました。
「この、ロケットを、お願いします」
妹は、二人で撮った写真の入っているロケットを従業員に手渡しました。
従業員は車の荷台にロケットを乗せました。

「今から、祝福の儀式を始める」

ある従業員の言葉と共に、拍手が巻き起こります。
「な、何…?」
困惑する妹と、盛り上がる従業員たち。
そして時が来ました。
従業員が車に火を放ったのです!

妹は、姉とロケットの入った車が燃やされていくさまをただ眺めることしか出来ませんでした。
妹は、唖然としながら、そして姉の名を呟きながらぽろぽろと涙を流しています。

「これで祝福の儀式を終える」
従業員の言葉の後に、拍手喝采。
従業員たちは妹にこう声をかけました。
「祝福の子の片割れよ、あなたは祝福の子の“祝福”を背負ってもらう」
どうしてよいかわからずに泣きながらついていく妹。

「今からお前は祝福の子と一つになるのだ、目を瞑っていろ」
従業員は言います。
従うことのしか出来ない妹は、目を瞑ります。
何か、頭にクリームをつけられたようです。
頭皮が痛い。しかしそれを声にすることも出来ず耐える妹。
一定時間後、クリームが流されます。
「もう目を開けていいぞ」
そう言われた妹は、手鏡を持たされ、目を開けます。
すると、水色の綺麗な髪が金色に染まっているではありませんか!
「お姉ちゃんの、色…」
妹は思わずそう呟きます。
「そうだ、その通りだ!祝福の子の片割れよ!」
またも拍手が巻き起こります。
そして、牛乳瓶に入っていた液体を掛けられます。
しかし、それは牛乳ではなく、もっと…。
「これはガソリンだ。お前も祝福の子になる使命がある」
従業員が言いました。
足のすくんで動けない妹は死を覚悟しました。
従業員はマッチを点けます。そして妹の方に投げ…。
「祝福の子に拍手を」
最後に聞こえた言葉はこれだけでした。



気が付くと、妹は蝶になっていました。水色と、金色の綺麗な蝶になっていました。
しかし、どこを探しても姉は見つかりません。でも、お姉ちゃんが自分と一つになったのだと思うと、不思議と充足感を感じました。
もう、何も、失わない。
もう、何も、怖くない。
いつも、お姉ちゃんと一緒…。


双子の姉妹

2023/02/08 up

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