オチルクズレル妄想
中学2年のときに心が大荒れで書いたものが見つかったので供養。ただし内容はフィクションです。
ああああああああああああああ。
崩れる。
何が崩れる?
分からない。
頭が考える機能を成していないかのように崩れる。
ああああ。
あああああああああああ。
「あ」の文字列が脳内を埋め尽くす。
助けて。助けて。カミサマ。
そんなものが居るならば。
カミサマは居ない。そう思って生きてきた。
そのくせこういう時ばかりカミサマを頼る。
そんな自分がすごく馬鹿らしく、厭で仕方がなかった。
落ちる。堕ちる。墜ちる。
全てのオチルが何一つとして合致していない。
しかし、間違ってもいやしない。
私はその「曖昧」を拒絶した。
真っ白で真っ暗な、重力をその体に受けながら。
ああああああああああああああああああああ。
もはや私の声が。はたまた誰の声かも分からない。
何も、分からない。
頭が壊れているのではないかという錯覚。
所詮錯覚で考えられないでもなく。
私は拒絶をしているのだ。
『貴方は此処へ来るべきではなかった。』
そんな幻聴が聞こえ──たかった。
本当に聞こえているのでも幻聴でもなく、この台詞は私の妄想である。
つまりは、「あ」の音に価値を見出したかった人間の末路である。
カミサマ。カミサマ。
ああああああああああああああ。
信仰心なき者には御利益はない。
オチル。クズレル。
私がすがることのできるカミサマは居ない。
モノクロ世界に闇はあれど闇以外の表し方はない。
光すらも。
「白い」というだけで眩しいという概念は存在し得ない。
地が見えない。
飛べず。地を這い。灰色の空を眺めることしかなかったこの私が。
落ちて、堕ちて、墜ちて、そして何かが崩れていく。
あああああああああああああああ。
あぁ。
空は。
無いものねだりであったのだ。
曇りなき灰色の空は──私が望んだものではなかった。
“私は”此処へ来るべきではなかった。
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
カミサマ。カミサマ。
私というヒトは我儘であったのです。
後悔をせども。せども。
私の落下速度は指数関数的に上がっていく。
しかしけれども決して地が見えない。
同じ景色が続くばかりで余計に恐怖を駆り立てられる。
目を閉じる。耳を塞ぐ。
しかし、脳裏に焼き付いたくすんだ空と、気を狂わせる「あ」の音は決して消えてはくれなかった。
「あああああああああ」
声に出して初めて気付く自らの声。
幾らか声はいつもより掠れてはいたが、今までの「あ」と別の声が聞こえてきたことに安堵する。
カミサマは私を助けない。
彼、彼女は私を見放したのだ。
天はどんどん遠ざかっていく。
それでもループしているかのように景色は変わらず。
空と雲以外に何も存在し得ぬ世界に取り残されたかのような。
そして自らの脳が世界をやや受容し始めたことに気付く。
安堵していた自分にも気付く。
最初こそ慌て、気が狂うのを待っていた頃であったが、今では心が冷めすぎている。
あ あ ああああ ああ
崩れた世界が修復される。
そんな妄想をし始める。
いつになったら私は解放されるのだろうか。
オチル妄想を終えても、クズレル妄想を終えても、私の現実はいつも通りでこの空はいつまで経っても私には灰色に見えるのだろう。
end
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【n年後の自分による記憶曖昧蛇足注釈】
・主人公はいわゆる抑うつ症状のようなものや度重なるトラウマや不安による発狂リスクを抱えており、主人公は自分自身を守るために死を考えたり(今回においては飛び降り)やカミサマから救済されることを自嘲しながらも考え続けたりと現実逃避を続けているのではないだろうか(自身も記憶が曖昧)。
・「あ」の羅列については発狂した自分の衝動を妄想、つまり脳内で垂れ流して発散しようとしているだけで、実際に音として聞こえてくるのは主人公が喋ったときのみである。「あ」の羅列から始まっているこの話は、主人公は叫びたくてしょうがないような辛い記憶でも思い出したのがキッカケであったのかもしれない。……それも、飛び降りをする妄想をするほどの本当にい記憶が。
・灰色の空に関しては、当サイトを運営しているmisk自身が憂鬱な気分で過ごしていると(誇張ではなく)見える景色が少しくすんで見えるような気がしてくるため、当時の自分もそれを採用したものと思われる。
・同時期に幼少期に母親を殺した女性が後に一人暮らしを始めた中で自嘲的に過去のことを思い出す小説などもあったが、今作と同一人物であるかは不明。(※現在、その小説の公開は考えていない)
・しかし、重ね重ね言うがこの作品はフィクションであり実際の作者と主人公は同一人物ではない。
オチルクズレル妄想
2023/03/17 update