受験の嫌なあたし
20220215の夢について。性格に難のあるって言われるあたし。テストが出来ても“なんでか”落とされちゃうあたし。
受験先から届くのは不合格ばっかりで、○学生のあたしはこのままじゃ夢のJ○になんてなれない。
でも、J○になりたいのはあたしの夢じゃない。
「ちょっとー?早く出てきなさい!あんたがケータイ弄ってるのなんてわかってるんだから!」
ポチ。ポチ。
「わかってるってばー、まだ間に合うって」
今日のあたしは受験会場に行くことになっている。
そう思ってるのはお母さんたちだけ。
あたしはトイレで最低限の文字を打って外に出た。
もうあたしは将来なんてどうでもいいの。
じゃ、お母さん、今度こそ頑張ってくるから。
「いってらっしゃい」
あたしは校章のついたジャンパースカートを揺らしながら玄関を開け、おかあさんに手を振った。
△△行きのバスに乗って□□で降りなさい。メールにはそう書いていたからあたしはそのバスに乗った。
慣れないバス。
どこで降りるかは分かっているのにいつその「降りるとこ」がくるかわからないから緊張する。
あたしはいつもの受験以上に緊張していた。
ソワソワして、おちつかない。
唯一知ってるバス停を運転手が口にした。
ああ、そう、ここ。
あたしが降りるボタンを押せば、他の降りるボタンも全部ギョッとするくらいに赤くなる。
悪いあたしを見られているみたいで、やっぱり落ち着かなかった。
バスを降りたらメールの通りに進む。
角を何度か曲がって、間違えてないといいんだけど。
メールの指示場所は大きなマンションだった。
受験なんて行われそうな学校なんかじゃ到底ない。
そしてそのマンションが目に入ったとき、あたしの鼓動が高鳴るのを感じた。
そして同時に、戻れないことを悟った。
マンションに入る。おぼつかない手つきでリュックを下ろしてあたしの住所が書かれた封筒に入れられたカードキーを出す。カードキーをかざす。開く。
あ、は。
人の家に勝手に入ろうとしてる人なんて、強盗かサイコパスみたい。
あたしはお母さんたちにバレずに今までできてるからきっとサイコパス。
あたしはカビ臭いし片付けもあんまりされてない部屋に通された。
汚いな、とは思ったけどおじさんはあまり悪い人には見えなかった。
「時々衝動にかられて仕方のなくなるときがある」って言ってたけど、それも信じられないくらい良い人に見えた。
お話して、ご飯食べて。それだけ。
ふざけて押し倒す遊びとかしたけど、それだけ。
“初日”は本当にそれだけだった。
帰って「面接で何聞かれたの?」と質問されるのが本当にウザかったけど、なんかもう、別にどうでもいいの。
あたしは別にJ○になりたいわけじゃないし。
それからおじさんちには週に一回通うことにした。
でもおじさんは会うたびに元気をなくしていった。
あたしが力になれたらいいんだけどな。
数回会ったある日、おじさんといつものようにふざける遊びを始めた。
でも、今日のおじさんは離してくれなかった。
「時々衝動にかられて仕方のなくなるときがある」という台詞を思い出した。
あたしだって子供じゃないし、なんとなく意味は分かってる。
そうなんだね、おじさんも、つらい?
「おじさんなら、いいよ」
あたしは笑ってた。
おじさんの役に立てること、おじさんにも弱いところがあるってこと。
なんでか嬉しくて。
ねえおじさん、あたし、一生○学生でいたいの。
そうしたらおじさんもあたしと遊んでくれるでしょ?
叶わないのは分かってるけど、楽しくいられるならそういたかった。
受験の嫌なあたし
2023/02/08 up