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希死意無ハウス

多分絵とかクソSSとか作る。

まじかるダンジョン

20200317の夢について。

僕には愛す人がいた。
その人はある日、10階建ての建物の最上階へと連れ去られた。
僕はその人を助けるためにその建物へと向かった(昔のRPGみたいな導入)。
中に入ると、受け付けの人が「待っていました」と一言。そして、この建物の説明をされた。

・フロア毎にランダムで一匹化け物が出てくる
・登るほどに強くなる
・その化け物をどうにか倒さないと次のフロアには進めない(レギュレーション違反をしたら殺されるよ!)
・一回の挑戦につき一度だけ一フロア無視できる(化け物無視して登れる)
・エレベーターは原則使えない

それを聞いた僕は、恐れおののいたものの、引き下がる訳にはいかなかった。
僕は受け付けの人にお辞儀をし、横の階段を掛け登る。

1F。某RPGの雑魚敵のスライムに猫耳が生えたような…猫っぽい何かが待っていた。
先ほどの焦りはなんだったのだろうとそいつを蹴り上げる。
しかし、そいつは愛する人と同じ声でうめき声を上げた。そして、「お前がそんな人だなんて思わなかった」と囁いてくる。
臆してはならないと思い、それはもう執拗に顔を踏み、蹴り…。気が付くとそいつは愛する人に化けていたらしく、そこにはぐちゃぐちゃの顔をした愛する人がいた…。
誰かがモニターで見ているのだろう、絶句しているところに無機質な音が聞こえてくる。
「次の階へ進め」と。

色々あって3F(2Fの記憶がない)。
登り終えると、大きな化け物がいた。茶色の。皮膚の表面は干物のような。しかしそいつは小太りのヒトガタをしていた。
「さてこいつはどんなことをしてくるのか…」そうやけに冷静に考えていたのもつかの間、気が付くと僕の鼻は内側にめり込んでいた。
…殴られたらしい。僕が最後に見たのは大きな茶色い拳だった。

スロットのようにネオンが効いてそうな大きな音と共に僕は目覚めた。
そこには表情の変わらぬ受け付けの人がいた。
「一度目の挑戦失敗です。またどうぞ」と。
僕は何かの間違いだと思い、顔を触ってみた。
どこにも異常はない。異常がないことに寒気がする。
僕は受け付けの人の声や表情が恐ろしくなった。それ以上に、己が恐ろしくなった。
脱兎の如く僕は建物から逃げ出そうとする。しかし、黒服の人間たちに自動ドアをふさがれる。
そして、受け付けの人が一言。「あぁ、あの人が殺されてもいいんですね」と。
僕はその言葉で正気を取り戻した。
目以外が笑う受け付けの人を横目に見ながら、僕は「…いってきます」と言い残し、再びダンジョンへと向かった。

僕は彼ら──化け物に躊躇することはなかった。どんなに精神を削られても、どんなに傷を負おうとも、僕は決して下を向かずに最上階へと歩みを進めた(ナレーションベース)。
で、色々あって5F。
出た。あの、「前の僕」が、3Fで出会ったあいつが。
僕は咄嗟に「見ているだろう誰か」に向かって「フロア無視します!!!」と叫んだ。すると、奴は消えた。
「次の階へ進め」と声が聞こえた。
僕はあいつに勝ったのだと酷く安堵した。

冷静さに努めながら階段を登る。6F。
また「あいつ」がいた。
僕は怯えた。そこで僕はレギュレーション違反を犯した。エレベーターに乗り込んだのだ。10Fへ、最上階へ!
もう、「あいつ」とは戦いたくない、戦えない。そう願いながら最上階へ登る。

10F。
エレベーターの扉が開く。
そこには大量の「あいつ」。
レギュレーション違反を起こした為に大量に召喚されたのだそうだ。
僕は死を意識する。あの人を助けられなかった謝罪の言葉を口にする。

その時、ピエロみたいな帽子を被った奴が“飛んで”きて、「あいつ」らを消し去った。
それからそいつは「レギュレーション違反犯しておいて謝罪できるなんてえらいねぇ、面白いから見逃してあげる。」と言った。
何のつもりなのだろうと僕が勘繰っていると、「そうだよその表情!いいね!大正解!もちろんボクと遊んでいってからだよ!」と上からさも楽しそうに叫んでくる。
奴が手を前に突き出すと、最上階の床はピンク色へと染まり、ぐねぐねとした軟体的な質感に変わった。
僕がそれに足を取られていると、「はい!50m走の始まりだよ!10秒以内にこっちにおいで!」といつの間にか遠くに離れたピエロが手を振っている。
よく見ると、奴の小脇には愛するあの人が抱え込まれている。早くしなければあの人が殺される。状況を理解した僕は、唾を飲み込んだ。
「オッケー、わかったね?よーい、どん!」
僕は無我夢中で奴の元に、そしてあの人の元に走った。
10、9、8…。カウントダウンなどほとんど聞こえていなかった。
唯一聞こえたのは、「ぜろ!」というただ一つの無慈悲なカウント。
終わったな…。僕はそう思いながらも足を止めることは出来なかった。どんなに転びそうになろうとも。
「やっぱりキミ、面白いね?」
スピーカーでもあるのか、様々な方向から奴の声が聞こえてくる。
「何だ、よ…?」
息も絶え絶えにそう応える。
「面白いから許してあげる!ほら!」
目の前にあの人が投げつけられる。
僕は深くお辞儀をし、愛する人を抱えて走り去った。
いや、走り去ろうとした。
「あ、魔法解くの忘れてた!いっけねー!あは!」
どんなに走っても扉が近付かない。例えるならルームランナーに乗せられているような…。
「魔法、解いてほしい?」
奴はそう尋ねてくる。僕は首を縦に振ろうとした。その時、
「代わりに『あいつら』がいーっぱい出てくるよ?」
そう言われ、僕は硬直した。
あいつらとは、前に僕を殺した、気味の悪い化け物たちのことだろう。
「どうするのー?」
「…ここに居てもいいか?」
僕はそう答えることしか出来なかった。
レギュレーション違反を犯した僕は、前のように、「やり直し」が出来る保証はないのだから。
「しっかたないなー!二人共一生ボクの奴隷にしてあげる!わかったわかった!」
元から答えがわかっていたように、奴はそう言ってのける。
その時、いつの間にか目覚めていたのか、僕が抱えていたその人は、
「それで、いいよ、お前がいいと思う方を選択したんだろ…」
と言ってくる。僕は良心に苛まれる。しかし、後に引ける状況ではない。
僕はピエロの言葉に首を縦に振った。

(この辺から僕の記憶がめちゃくちゃ飛ぶ)
気が付くと、僕とあの人、そしてピエロはお茶会をしていた。
「これで、よかったんだよな…」
僕はそう呟きながら、歪んだ床を眺める。
一方、ピエロは
「はい!お茶なくなったー!魔法で出してあげるから淹れてー!ほら!ぼんやりしてるキミ!」
だなんて言ってくる。
奴は「奴隷」という言葉を使いつつも、友達が欲しかっただけなのかなぁなどと思いながら。

(END)

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2023/02/08 up

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